売野機子『MAMA』1~2巻をよみました。

売野機子「MAMA」2巻までを読んだ。すっっっごく良かった。

MAMA 1 (BUNCH COMICS)

 『この世界には とびぬけて歌声の美しい男の子が生まれることがある

天使が生まれたと言って大騒ぎする

でも じっさい“ほんとうの天使”になれるのはほんの一握りだ

(略)

“天使”は

その声の美しさが頂点に達したとき

命を失いほんとうの天使になる

 

「僕 ほんとうの天使になれるかなあ」』(売野機子『MAMA 1巻』より引用)

 

 

 

“少年美”にすごく拘った作品なのかなあと思いました。

美しい“天使”の歌声を持って生まれたガブリエルは、同じ才能を持った少年たちが集い“ほんとうの天使”になることを目指す寄宿学校クワイアへ入学する。そこで出会った少年たちは、ガブリエルは・・・ という話なのですが、このガブリエルがもうすごく儚く美しく、しかし少年らしい強さ弱さも併せ持っている、これが少年美か!桜は散るから美しいのか!と言いたくなるようなキャラクターで。そりゃ天使だ・・・と納得。ちなみに私はアベルが好きです。シオンもいいとおもいます。

 

“花の24年組の再来”という帯に惹かれて買ってしまったんだけれど、私はこれは24年組の流れを汲んでパワーアップした2000年代の作品だと思います。昭和じゃない。

確かにこの作品を読んだ人は萩尾望都を思い出すだろうと思います。美しい言葉、耽美感、少年合唱だしギムナジウムだし天使で 盛り盛りですね。でもこの作品のキーポイントでありタイトルでもある“ママ”と少年たちの関係の描き方はとても現代的で、24年組のそれとはまったく異なるように思えます。

 

そもそも天使って何なのか?

きれいな声をした“天使”の候補生たちが集う音楽学校クワイアで暮らせるのは、“ほんとうの天使”になる前の少年だけ。

“ほんとうの天使”になれないまま変声期を迎えると学校を出なくてはならないし、“ほんとうの天使”になると死んでしまう。この作品での天使たちは、選ばれた一握りの人間だけが期間限定でなれる存在として描かれています。

一度失われるともう戻らない、期間限定の美しさと、触れてはいけないある種の神聖さ。確立された瞬間に失われる一瞬の美。それを表すのに“天使”という言葉はたしかに最適なのかもしれない。

まだ二巻までしか読んでいないのですが、すごく素敵な作品だと思います。早く続き読みたいな。

 

MAMA 1 (BUNCH COMICS)

MAMA 1 (BUNCH COMICS)

 
MAMA 2 (BUNCH COMICS)

MAMA 2 (BUNCH COMICS)

 

トーマの心臓 (小学館文庫)

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