詩人でもない私が詩について考える①

詩とはどういうものなのか。

私がこんなこと考えるのもちゃんちゃらおかしいかな?

 

 

自分と詩の関わりについて考えてみると、私はおもに詩を読む側であって頻繁に詩を書くことのない人間だ。しかも大学に入るまでは教科書を通してしか詩に触れたことがなく、自分とは遠い領域にあるものだと考えていた。

しかし興味を持ち少しずつでもそれらを読むようになると、ほんのいくつかではあるが不思議と印象に残るものがあった。それは北原白秋の『夜』の最後の部分であったり室生犀星の『小景異情』の冒頭であったりしたが、萩原朔太郎の『竹』『地面の底の病氣の顔』は特に心に残るものだった。

なので、私が詩とは何かというテーマについて考えたとき一番に思い浮かんだのは、萩原朔太郎『月に吠える』序文の

『詩とは感情の神経を掴んだものである。生きて働く心理学である。』(萩原朔太郎 1917)

という一節だった。

 

これはいったいどういう意味なのか。

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売野機子『MAMA』1~2巻をよみました。

売野機子「MAMA」2巻までを読んだ。すっっっごく良かった。

MAMA 1 (BUNCH COMICS)

 『この世界には とびぬけて歌声の美しい男の子が生まれることがある

天使が生まれたと言って大騒ぎする

でも じっさい“ほんとうの天使”になれるのはほんの一握りだ

(略)

“天使”は

その声の美しさが頂点に達したとき

命を失いほんとうの天使になる

 

「僕 ほんとうの天使になれるかなあ」』(売野機子『MAMA 1巻』より引用)

 

 

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宮部みゆき『ソロモンの偽証』読みました。

大衆小説の大御所、宮部みゆきの『ソロモンの偽証』を読みました。 

ソロモンの偽証: 第I部 事件 上巻 (新潮文庫)

ソロモンの偽証: 第I部 事件 上巻 (新潮文庫)

 

いやあ面白いですねこれ。

1~2巻に熱量を感じなかったのでガッカリしつつ惰性で読んでいたら、3巻からどんどん勢いがついてそこからは一気読みしてしまいました。

全6巻とちょっと長めなのですが、3巻以降は長さは全く気にならなかったなあ。

 

文章の美しさとかそういうものは感じなかったし特に後日談『負の方程式』は蛇足の感が強かったけど、学級裁判を用いて中学生が殺人(疑惑)事件の真相を明らかにしようとする筋書きは面白いし、キャラクターも魅力的だなと思ったし(神原きゅん天才かわいい。野田君も未熟な成長途中な感じがとてもかわいい。)さすが宮部みゆき、良い娯楽小説家なんだなあと思いました。これは娯楽のための小説だから!と割り切って考えると蛇足といった『負の方程式』もそこにある有川浩的な大団円ですべてうまくいきました!登場人物みんなどこかに良いところがあるよ良かったねキラキラ感もまあ・・・・・・・・・・いいのかな?と。

 

ただやっぱり、宮部みゆきのキャラクターはただの記号、属性の詰め込みなのが隠しきれていない気がして違和感があるし、あまり好きではないな。でも面白かったです。

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ブログのデザインを変えました。やっぱり見た目は大事だもんね。

私は自分の容姿が好きではないです。

鏡を見る度に見たくないものを見せつけられてる気分になるし、写真を撮るのも嫌いです。facebookにも自分の顔が写った写真なんて絶対にあげないし集合写真で自分の顔が写っているものがアップされる度にアカ消しを考えます。

こういうことを言うとそれなら努力をしろ、容姿なんて自分次第で変えられるものなんだから行動しなさいと言われそうだけど、それをするだけのパッションが私にはないんですよね。

 

大体できることって何?義務感でしか化粧をしたことがなかった、路頭に迷った子羊はなんや本屋で目に入った 神崎恵『会うたびに「あれっ、また可愛くなった?」と言わせる』を購入しました。 

 

会うたびに「あれっ、また可愛くなった?」と言わせる

会うたびに「あれっ、また可愛くなった?」と言わせる

 

 

すごいねこのタイトル。馬鹿で調子のいい言葉に惹かれやすい私は思わず手に取っちゃったよ。著者は40歳のビューティライフスタイリストだそうです。肩書もなんかすごい。私のライフもビューティにしてください。

期待しながら本を開くと「いつもとぅるんとした髪でいる」「五感をとろかせる香りをまとう」「ふわとろ脚をつくる」などなんだかすごく感覚的だけど何とかしてくれそうな文句が並んでいたので、それに従いカラコンを購入しアイプチを覚えシャンプーを変え美容室に行き香水をつけ脚のマッサージを行うなどの努力をするとあらすごい、友人に「なんか可愛くなったね!」と褒めてもらえました。すごいね。こういう本馬鹿にしてたんだけど、可愛くなったって言ってもナメクジがカタツムリになったレベルなのかもしれないけど、ちゃんと効果あるんだね。認識を改めました。

髪の毛からいい匂いはするし、目も心なしか大きく見えるような気もして、友人にも褒めてもらえて、背中に殻をのせることができて、嬉しかったんです。

 

嬉しかったんですけど、やっぱり鏡を見るのは好きじゃないし写真も嫌いなままでした。

だって鏡に映るのは相変わらず自分だったから。背中の殻があろうがなかろうがゆるふわパーマだろうが鏡に二本の触角?が写っていて、それがぬめぬめしていることには変わりがないのです。

少なくともあと数年の間は鏡を見るのは「地味に」嫌いなままだろうな。

実生活に支障が出るほど、死ぬほど嫌いってわけでもなく、常温で生ぬるく嫌いなだけだからそのまま。

この本に従い続けるのはめんどくさかったし。

犬の散歩に行ってきます。

それでは。

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東野圭吾『プラチナデータ』読みました。

東野圭吾の『プラチナデータ』読みました。

プラチナデータ (幻冬舎文庫)

プラチナデータ (幻冬舎文庫)

 
 

うーーーん。芸術の価値ってそこにあるのかなあ?

DNA解析システムが発達して、冤罪率低下!検挙率大幅アップ!国民を遺伝子で管理してどんな犯人も逃さない!(ようにしたい!)という世界。しかしある日そのシステムの開発者である蓼科兄弟が殺されてしまう。システムの共同開発者でもある天才科学者神楽龍平が犯人の残した毛髪を解析すると、なんとご自慢のシステムは自分こそが犯人だと告げていた・・・というあらすじ。

登場人物もそこまで多くなく、ストーリーも分かりやすいのでサクッと読める。

天才科学者とか二重人格とかアメリカのスパイとか、厨二心を刺激する要素も多くあり、読んでてにやにやできる作品。でも。でもいまいち・・・・私を熱中させてはくれなかった。謎の少女の正体とか、黒幕とかが予想しやすかったのと文体がさっくりしすぎていたからかもしれない。

一つ印象に残ったのは、芸術家の価値とは何かについて語られていた部分。

科学技術の発展した時代、実績のある芸術家本人でさえも自らの作品と機械が作ったそのコピーとを見分けることができない。芸術とは何なのか?人間は必要なのか?主人公神楽龍平は物語終盤その答えを見つける。

その答えについて触れるとネタバレになりそうなので反転↓

手に価値があるっていうのは分かるんだ。その人間がオリジナルを作り出せるということそれ自体に価値がないなんてそんなことあるわけない。でもやっぱり、だからこそより重要なのは作品なんじゃないのかと思います。優先順位が逆なんじゃないのか?だって作品をつくれなかったら芸術家は芸術家ではいられないんじゃないの?

 


内なる声が私みたいなのに芸術の何たるかは分からないだろうと責めるのですが 

そんなの知りません それなら私に芸術を教えて下さい。 というか人に教える教わるじゃなくて問答無用で伝わってくる、それが力を持った芸術作品じゃないんですかー!馬鹿な大衆にぐっと唾を飲ませるくらいのパワーで来てください!へいへい!ごめんなさい!60点!ちゃお!


『書店ガール』感想

碧野圭『書店ガール』を読みました。

 

書店ガール (PHP文芸文庫)

書店ガール (PHP文芸文庫)

 

 

書店員の仕事って楽しそうだなと思える本でした。

生真面目なアラフォー副店長理子とちょっとお嬢さま気質で自由奔放な亜紀が対立しつつ、書店のために頑張るストーリー。

おっ完全ハッピーエンド?結局最後は大団円で都合よく終わるのかな?ハイハイ
と読み進ませておきながらも主人公達の思い通りにはならず、やっぱりねとは思わせないけれどみんな笑顔で終わるという終わり方。

険悪だった2人が店の危機を前に団結するというのはありがちだけど、さっぱりしてて読みやすいし読後感も悪くないし、さくっと読めるレディースお仕事エンタメ小説ですね。
というか巻末の北上次郎の解説にもあったけど、出てくる男がろくでもない奴らばかり……。そういう意味でも女性向け色が強いなあ。最後にやらかす社長のせいかな。

あとほんの少し、どうでもいいことだけど気になったのは、この人たち『ガール』ではないよなあ…と

もしも『書店がある』とかけてるんだとしても、読後このタイトルを改めて見て一番に浮かんだのはジェーン・スーの『貴様いつまで女子でいる気だ問題』 

貴様いつまで女子でいるつもりだ問題

貴様いつまで女子でいるつもりだ問題

 

 でした。(この本を書店で見かける度にギクっとする)

 

 全体としては嫌いじゃないんだけど、地の文があっさりしすぎていてあまり好みではなかったなあ。ドラマの脚本か何かを読んでいる気分になってしまいました。読みやすいは読みやすいんだけど、私はもっとこってりした文体の小説が好きだな。

 

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